オーディオと生音

オーディオで「生音」は出ない ―― 生音をうたう業者にはご注意を

当たり前の話ですが、オーディオで生音は出ません。

オーディオ機器は、CDやレコードに記録された信号を再生する装置です。
楽器そのものではありません。

「生音」「原音再生」といった言葉を強調する業者もありますが、まずは冷静に考えてみましょう。


なぜオーディオで生音は出ないのか

例えば、スピーカーとピアノ。
誰が見てもまったく別のものです。

用途も構造も材質も違います。
共通しているのは「音が出る」という点だけ。

スピーカーから“ピアノの録音”は再生できます。
しかし、目の前で鳴っているピアノそのものの振動や空気感を、そのまま再現することはできません。

本当の生音を聴きたいなら、実際にその場で演奏を聴くしかないのです。


生音を追い求めると苦しくなる

オーディオで生音を完全に再現しようとするのは、理論上不可能な目標を追うことになります。

不可能なゴールを追い続ければ、
「まだ足りない」「もっと近づけたい」と焦りが生まれ、
結果としてお金と時間だけが消えていく。

それよりも、自分が心から気持ちいいと感じる音を目指す方が、はるかに健全です。

オーディオで生音は出ません。
しかし、“素晴らしい音”はいくらでも作れます。


実はコンサートも「完全な生音」ではない

一般的なライブやコンサートにはPA担当がいます。
会場全体に音を届けるため、その場で音を加工・調整しています。

つまり、多くの公演では拡声・補正が入っています。

そう考えると、「生音とは何か?」という問い自体が、実は単純ではありません。


「生音」をうたう表現について

オーディオで生音そのものは再現できません。

にもかかわらず「生音が出る」と断定的に宣伝するのは、少なくとも誤解を招く表現だと私は思います。

もちろん、生音“らしさ”を感じさせる音作りは可能です。
しかしそれは「生音そのもの」ではなく、「生音的な質感」です。

言葉の使い方には、慎重であるべきでしょう。


そもそも、生音は常に最高か?

生で聴く音が、常に最高とは限りません。

ライブ会場で「音が良い」と感じることは、正直それほど多くありません。
多くの人は、演奏者をその場で見たい、空気を感じたいという体験を求めて行っているのではないでしょうか。


オーディオの本当の価値

オーディオの目的は、
「記録された音楽を、最高の状態で楽しむこと」です。

生音を目指す必要はありません。
自分が納得できる音、自分の心が動く音を目指せばいいのです。

ときには、録音芸術として完成された音は、生演奏以上の感動を与えてくれることもあります。


まとめ

・オーディオで生音そのものは出ない
・生音を絶対視する必要はない
・目指すべきは「自分にとって最高の音」

「生音が出る」と断定する言葉には、少し冷静になって向き合いましょう。

あなたのオーディオは、
あなたにとっての最高の音を鳴らせば、それで十分なのです。


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